20代から派遣で働くという甘く危険な罠…

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最終更新日:2020/05/07

2018年時点、全国で派遣として働いている人は136万人にのぼっており、20代のうちから派遣の働き方を選ぶ人も増えてきました。
確かに “派遣で働く”メリットは多くあり、おすすめできる働き方のひとつです。しかし、注意しなければいけない点もあります。

というのも、20代のうちはよいのですが、目標を持たずに派遣で働き続けると、30代・40代と年齢を重ねるうちに採用されづらくなるという年齢の壁を感じることになるからです。
では、何を注意すればいいのでしょうか?派遣を受け入れる派遣会社や派遣先企業の考え方を紹介しつつ、現在30代後半以降が直面している派遣の問題点をお伝えします。 

目次[開く]

 

20代で派遣を選んだ理由

Q:派遣という働き方を選んだ理由は? 

◆Aさんの場合【正社員のときはいくら頑張っても残業代がほとんど出なかった

新卒で入社してから、7年間正社員として働いてきました。私がいた会社は残業多いのに残業代や休日出勤手当が固定で、 いくら頑張っても給料も微増ぐらい…。そのため、時給制で働ける派遣を選びました

福利厚生も正社員時代よりしっかりしていますし、時給で働けて残業代もきちんと出るので、年収は正社員の時より上回っています

◆Bさんの場合【無意味な人付き合いに参加するのが嫌だった

26歳で正社員から派遣社員になりました。理由は、派遣社員だと無駄な付き合いがなくて、決められた時間だけきっちり働ければいいからです。正社員のときは上司のご機嫌をうかがうためだけの飲み会やカラオケがあり、仕事以外で疲れることが多くありました。

派遣で働き始めてからは、嫌な付き合いは断ればいいだけですし、自分のペースで仕事ができるので、付き合いが苦手な私にはぴったりの働き方です。

◆Cさんの場合【パソコンスキルも伸びず将来が不安になった

金融系の会社に勤めていたのですが、スキルアップのために派遣を選びました
正社員のときは毎日同じ作業ばかりで、5年間働いてもやる作業は変わらないうえに、身につくのは事務処理のスピードが上がるぐらいでした。紙の処理が90%以上なのでパソコンのスキルが上がるわけでもなく、その会社でしか通用しない仕事だったので、長く続けても意味がないと判断しました。あのまま続けていたら、何の力がついたのか不明です。

派遣ではベンチャー系の広告会社におり、幅広い仕事ができているので確実にスキルアップしていると思います

◆Dさんの場合【結婚したので残業の少ない働き方を希望

結婚するまでは正社員でバリバリ働いていたのですが、結婚すると家事が増えて残業できる状況ではなくなってきました。そこで夫と話し合い、正社員から派遣社員に切り替えました。メリットは残業がないことですね。

最初の段階で残業の有無の希望が出せますし、私の場合は月に10時間ぐらいしか残業はありません。おかげで家事もできますし、夫が帰ってくるころには温かいご飯の準備ができています。ちなみにボーナスはありませんが、正社員時と月給の差はありません。 

派遣社員にメリットを感じている人は多く、正社員のときと比べても待遇が良くなることも少なくありません。最近は仕事以外の時間を重要視する人も増えてきているので、ますます派遣の働き方が人気になっていくと考えられています。
では、派遣で働くとどんなメリットがあるのかをまとめてみました。
 

20代から支持される派遣として働くメリット 

働く条件を設定できる
派遣で働くメリットで最も支持されているのは、働く条件を自分自身で決められることです。業界・職種・時給・就業時間・会社規模・場所などの条件を、好きなように決められます。
正社員では敷居が高く感じていた企業も、派遣では働きやすいと言われています。 

さまざまな仕事や職場を経験できる
派遣社員には契約期間というものがあり、3か月や6か月と期間が決まっているので、「職場に合わない」「もっと違った業種で働きたい」と思ったら他の仕事に進めます。スキルアップを目的として、仕事内容を変える人も多くいます。 

時給が高い・残業代が出る
正社員の人が給料を働いている時間で割ると、1,000円を切ってしまうことが意外とあります。一方、派遣社員はある程度スキルを求められて仕事をしますので、時給設定は高めです。地域によって誤差はありますが、関東エリアで未経験歓迎の派遣求人案件の全職種時給平均は1,593円です(2019年3月時点)。
また、残業代は1.25倍出ますので、正社員で働くOLよりも高くなることが多々あります。 

働く時間が決まっているので有効活用できる
派遣社員は契約で働く時間が定められています。派遣社員を雇用する派遣先企業も、残業を多くさせてしまうと残業代がかかるため、派遣社員には残業を無理にさせないことが多いのです。
仕事後の時間を充実させたい人や、既婚者などから特に支持されています

以上、派遣で働くということはメリットが多いのですが、注意しないと30代後半以降は厳しい現実が待ち受けています。実際にどんな問題が発生するのか、以下でご紹介しましょう。
 

35歳以上が直面している問題

派遣
●仕事の紹介が少なくなってきた
●派遣で働こうと思っても途中で不採用
●人気のない職場職種しか紹介されない

厳しい言い方になりますが、スキルが高くなく、年齢だけ重ねている派遣スタッフは確実に働き口が減ってきます

経験値が低く年齢が高い人は、派遣会社が登録を避けるケースも…。このような人は、実際に派遣先企業が決まりづらいため、派遣会社は登録を渋るのです。 

派遣社員を受け入れている企業の考え
できるだけ若い女性を採用したほうが、現場の社員のモチベーションも上がるし、職場に活気が出てくる。また、現場で派遣社員に仕事を指示するスタッフも若いので、派遣社員も若い人を依頼しよう。
年齢が高い人を受け入れて問題になったら、採用者の責任になるので、年齢条件は絶対。 

派遣会社の思惑
「30代半ば、Excelスキルは四則計算のみで、他は特になし」この年齢と条件だと一般事務で採用になるのは難しいな。人気のないコールセンター業務か、就業環境がやや悪くて他の派遣スタッフがすぐに辞めてしまう会社ぐらいにしか紹介できないな…。
 

これが採用する派遣先企業と派遣会社の担当者の本音です。

20代までは、若さだけでも採用が決まります。しかし、30代を超えると経験やスキルがなければ採用につながりません。でも、派遣会社は売り上げのために働いてもらいたいので、人気のない職種や会社に派遣しようとします。それすら無理な場合は、仕事を紹介されないのです。

今現在、35歳を過ぎて派遣で働くことが難しくなっている人、希望の条件で派遣の仕事ができない人が急増しています。

派遣という働き方が広がり始めた過去の時代とは異なり、現代は20代でも派遣で働く人が増えているので、採用する派遣先企業がこぞって若い年齢層を欲しがっているのです。

本来、年齢で判断することはできませんが、今後も30代後半以降の世代が派遣の仕事を探すのは苦労すると考えられます。
では、どういう人が30代後半以降も派遣スタッフとして活躍をしているのでしょうか?
 

勝ち残る人物とは…

派遣

派遣で働きながら成功している人の多くは、明確な目標設定をしています。

「○○の資格を取りたいから派遣で働いて、空いている時間で勉強する」
「ここの会社で○○の経験を積み、スキルアップするために2年程度で他の会社に移る」

求人を出す派遣先企業が求めている以上のスキルや経験を持っている派遣社員は、何歳になっても仕事が決まります。一方、何も考えずに目の前の業務を淡々とこなしているだけでは、誰でもできる仕事しか紹介されないようになるのです。

また、結婚・育児などで仕事のブランクがある人はもっと大変で、派遣でどんなスキルを身につけていくかをしっかり考えて過ごさないと、いざ社会復帰をしようとしても、予想以上に厳しい現実が待っています。
 

20代のうちから準備しておくこと

派遣社員という存在は、企業にとって都合のよいポジションです。短期的な考えで働くのではなく、10年後、20年後も必要とされる人材になれるのかを考えながら仕事をしていく必要性があります
いずれ異なる働き方を考えていたり、将来は結婚退職したりする予定がある人は別ですが、派遣社員として働き続けるなら、30代半ばで年齢の壁があるということを認識しておきましょう

また、派遣会社に都合よく使われないことも大切です。
派遣会社は目先の利益を優先するので、言葉巧みに自社の都合のよい方向に派遣社員を導き、場合によっては人気のない職種や厳しい職場に送り込もうとします。紹介された仕事は自分の方向性と合っているか見極め、派遣会社の言いなりにならず、同年代の派遣事情や仕事事情を把握して仕事を選びましょう。

アロテックネクスト アロテックネクスト

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