最終更新日:2020/05/13
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派遣社員の皆さんは「派遣社員って産休育休は取れるのかな?」と思ったことはありませんか?
産休(産前産後休業)は、派遣社員を含めた全ての労働者が利用できる、労働基準法で定められた権利です。一方、育休(育児休業)は取得できる人に制限があります。
ちなみに一般社団法人 日本人材派遣協会の2018年統計調査によると、派遣社員の平均年齢は41.9歳で、約9割が女性です。
すなわち、子育て世代を中心に派遣業界は動いていることがわかりますね。
派遣業界で働く人が多い20~40代は、妊娠・出産・育児に最も縁がある年代と言えるでしょう。
今回は、そんな派遣社員の皆さんに、妊娠・出産の関わる産休育休の仕組みや実態などについて、わかりやすく解説します。ぜひ、この機会に「派遣社員の産休育休」について理解しておきましょう!
目次[開く]
まず最初に、産休と育休の基礎知識を理解しておきましょう。
産休は大きく2つに分かれます。出産予定日前の6週間が「産前休業」、出産後8週間が「産後休業」です。(多胎妊娠の場合は産前14週間、産後8週間)
これは労働基準法で定められており、全ての雇用形態に共通します。
産休 | 育休 | |||
産前休業 6週間 |
産後休業 8週間 |
子どもが 1歳に達する日まで |
一定要件で 取得可能 |
|
出産 | 1歳に達する日まで | 2歳に達する日まで |
ただし、産前休業は本人の意思が尊重されるため、「私は出産予定日のギリギリまで働きたい」という人は産前6週間の間も働くことができます。
もちろん、体調最優先のうえ、派遣会社や派遣先企業と事前に相談する必要があります。
一方、産後休業の8週間は必ず取得しなければならない休業であり、労働基準法で定められています。
その期間は、育児と母親の体調管理に専念しないといけないということです。ただし、どうしても早く職場復帰したい人は、医師の判断により産後6週間経過後に就業できます。
育休は「育児・介護休業法」により定められています。以前は、取得期間が原則1年間(子どもが1歳に達するまで)、子どもの預け入れ先が決まらない場合は最長1年6か月まで延長が可能でした。
しかし、2017年に施行された「改正育児・介護休業法」により、再度申請すれば最長2年間延長できるようになりました。
産休育休ともに、法律によって制度が成り立っているのです。
前述のとおり、派遣社員は必ず産休を取得できます。そして、条件を満たせば育休も取れます。
では、育休を取得できる条件は何でしょうか?それは以下の2つです。
上記の2つの条件クリアが必要です。
勘違いされやすいのが「①同一の雇用主」。これは、3か月ごとで更新されるような派遣先企業のことではなく、派遣会社のことです。なぜなら、派遣社員にとって雇用主は派遣会社だからです。
つまり、派遣先企業が何回変わっても、育児休業前の1年間は同一の派遣会社から派遣されていれば育休の対象となります。
②については、派遣会社から雇用契約が更新される可能性を書面または口頭で示されていれば認められます。
ただし、特に示されていない場合は、同じ地位にある他の派遣社員の契約更新状況や、会社側のこれまでの言動によって実態を判断することになります。
その派遣会社で他の派遣社員があなたと同じ様なケースで育休がとれているか、更新回数の上限があるかといったことが、判断基準となります。
産休育休中の給料は出るか否か、どちらでしょうか?
答えは、産休育休中は基本的に給料は出ません(ただし、一部の企業では給料の何割かを出すところがあります)。
その代わり、産休育休中にもらえる手当があります。
まず、加入している健康保険から「出産育児一時金」が支払われます。
妊娠4か月(85日)以上の人が出産したときは、子ども1人につき42万円(産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は40万4,000円)が支給されます(2019年時点)。
次に、働いている人(条件によっては出産退職した人も含む)には「出産手当金」が健康保険から支給されます。
これは、産前の6週間から産後の8週間までの間は毎月、欠勤1日について、1日の賃金の概ね3分の2相当額が支払われます。
それに加えて、健康保険や厚生年金保険といった社会保険料が免除されます。
ただし、出産育児一時金は医療機関に、出産手当金は勤め先の派遣会社に申請する必要がありますので、事前に確認しておきましょう。
また、育休中は「育児休業手当金」が出ます。
育児休業手当金は、雇用保険(管轄はハローワーク)から毎月、休業開始時の賃金の2分の1相当額(始めの6か月は67%、その後は50%)が支給されます。
そして、産休と同様に育休中も社会保険料が免除されます。
しかし、育児休業手当金をもらうには条件があります。
そのひとつが、育児休業開始日前の2年間に、ひと月のうち就労日数が11日以上の月が12か月以上あることです。
その他にも、雇用保険や社会保険の加入年月などには細かい条件があるので、派遣会社に確認しておきましょう。
ここでは、派遣社員が知っておくべき”産休育休に必要なこと”をご説明します。
産休育休を取得するためには、自分から申請のうえ会社に書類を提出する必要があります。
派遣社員の場合は、派遣会社に申請して書類を提出します。
前述のとおり、産前休業の場合は出産予定日直前まで働きたければ、産前6週間の間も働くことができます。
産前休業も働きたい人の多くは、
上記の2点もしくはどちらか1点が主な理由として考えられるでしょう。
②の場合、申請方法によっては働かなくても給料をもらえます。
それは「有給休暇」を取得することです。
例えば、3か月更新で契約し、産前3週間前まで働き、残りの3週間を有休消化するという方法も可能です。
有休を利用して早めに休みに入りたい人は、その旨を派遣会社に伝えて調整してもらいましょう。
仕事を休んでしっかりと出産に備えたい人は、自分が妊娠したことと出産予定日を早めに派遣会社に伝えておくことが重要です。
そして、派遣会社から派遣先企業に了承を得る手続きができれば、安心して休みに入れるでしょう。
育休の場合も産休同様に、申請が必要です。
育児休業の申請書類を派遣会社からもらうタイミングで、「育児休業手当金の受給申請の手続をしてもらえるのか」どうかも念のために派遣会社に確認しておきましょう。
ほとんどの場合、手続き自体は派遣会社が行いますので、指定された必要書類を派遣会社に提出するだけで問題ありません。
産休育休期間の終了前は「また、すぐに仕事を始めれるのかしら…」と不安に思う人も多いでしょう。
派遣先企業と良い関係を築いていれば「ぜひ、戻ってきてくださいね」と声をかけられているかもしれません。
しかし、現実はそう簡単にはいかないようです。
なぜなら、派遣先企業はその仕事のポジションを空けたままにはしておけないため、通常は他の派遣社員を補うことが多いからです。
もちろん、派遣先企業の配慮により、ポジションを用意してくれて再び働ける場合もありますが、そのケースは少ないのです。
ただし、派遣会社からも評価が高い派遣社員については、産休育休からの復帰後も働けるように、新たな仕事を紹介する努力をしてくれるはずです。
つまり、派遣社員は派遣先企業や派遣会社との付き合い方・働き方が本当に大切なのです。
ちなみに、出産前と出産後で大きく変わることがあります。
それは、派遣社員に対する派遣先企業や派遣会社の見方・接し方です。
出産後はどうしても、家庭・育児優先になるため、出産前のような仕事中心の生活が難しくなります。
特に、子どもが小さいうちは体調不良などが続き、仕事を休んだり早退したりという日が多くなります。また、保育所の送り迎えの時間帯によっては、出産前のようにフルタイムで働くことが難しくなるものです。
女性の多くは、出産によって生活環境が大きく変わります。
当然、働き方も変わる可能性が高いため、産休育休に入る前や休業期間中に、派遣会社と”復帰後の条件”について相談しておくのがおすすめです。
出産育児は、女性の人生においてとても大きなイベントです。産前産後はぜひゆっくり休んで、出産育児としっかり向き合い、良い時間を過ごしてください。
派遣社員が産後も気持ちよく働き続けるためには、産前から派遣会社や派遣先企業との良好な関係が求められます。産後も働きやすい仕事環境や条件にするためには、「再び働いてほしい」と望まれるための努力が産前に必要です。
また、家族としっかり話し合い、あなたの産休育休後の仕事について明確なビジョンを持っておきましょう。共稼ぎで生活していくためには、夫婦で協力し合うことが欠かせないからです。
つまり、産休育休期間は「生活環境と職場環境を整える準備期間」でもあるのです。
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