最終更新日:2019/11/29
最終更新日:2019/11/29
「派遣と出向の違いって分かりますか?」
こう聞かれても、派遣と出向の違いについて、はっきり理解していない方がほとんどかと思います。「理解しなくても、私達にとって特に影響ないんでしょ?」と安易に考えてはいけません。
仮に、あなたが出向と思い込みながら働いていた場合でも、その働き方自体が「違法派遣」として判断されることだってあるからです。
労働局の指導を受け、刑事告発されるケースまであるので、仕事を失ってしまうことも考えられるということですね。
つまり、派遣と出向の違いを、しっかりと理解しておく必要があるんです。今回は、そんな派遣と出向の違いについて、わかりやすく解説します。
目次[開く]
派遣と出向の違いはわかりにくいですよね。「派遣と出向って一緒でしょ」と思う方もいるかもしれません。
もしかすると、あなたが派遣だと思っていた仕事ですら、蓋を開けてみると出向だったといったこともあるかもしれません。
そのようにならないためにも、しっかりと理解しておきましょう!
派遣社員の皆さんは、「派遣のことなんか今さら聞いても…」となってしまうかもしれませんが、改めて派遣のことをおさらいするつもりで、読んでくださいね。
派遣社員の雇用主は、もちろん派遣会社です。派遣会社と雇用契約を結び、派遣会社の社員の一員となります。
派遣先はあくまでも単なる就業先なだけで、派遣先の社員では決してありません。派遣社員として派遣先で長期間働いていると、派遣会社の存在感がどんどん薄くなってしまいます。
その反面、派遣先での仲間意識が芽生える事もありますが、何度も言うように派遣会社の社員であるということは頭の片隅に入れておく必要があります。
派遣会社の福利厚生を使い、あなたの社会保険料を派遣会社と折半しているなどといったことの裏側には、派遣会社が存在しているということです。
とはいえ、業務のことだけを見ると、派遣先企業がメインに関係してきます。派遣社員は派遣会社の指示で仕事はできないですよね?派遣社員の指揮命令者は派遣先であるということです。
では次に、出向について解説しましょう。
まず、出向には出向元と出向先があり、派遣でいうところの派遣会社と派遣先(就業先)に当たります。
もう少し具体的に説明すると、出向元(親会社など)の業務命令によって、出向先(子会社やグループ会社)に社員を異動させ、働かせることです。
つまり、派遣とは異なります。会社間の異動である出向には、派遣会社が全く関与していないということですね。
当然、派遣社員のように、何か悩みや相談があっても、派遣会社に相談できません。
唯一、派遣と出向とで共通していることがあります。
それは、「指揮命令者」です!
結局は、就業先(派遣:派遣先、出向:出向先)で仕事の指揮命令が行われますので、派遣であっても出向であっても、指揮命令者は変わらないということですね。
実は出向といっても、大きく分けて2種類の出向があります。
その2種類の出向について、説明していきますね。
在籍出向とは、出向元と出向先の両方と労働契約を結ぶ働き方になります。
「えっ同時に契約なんか結べるの!?」と思った方も多いかと思います。元の会社に籍を残したまま、他の会社で勤務をするといった感じです。
在籍出向は、二つの契約を結びますので、どちらの会社のルール(給与、福利厚生、就業規則など)で働くかは契約内容によって違ってきます。
転籍出向は、出向元との労働契約を解消して、出向先と労働契約を結ぶ働き方になります。
当然、出向元との契約はなくなりますので、実質的には出向先に転職するといったイメージです。
第1章では、派遣と出向について、基本的なことについて解説をしましたが、第2章では「決定的な違い」について解説しますので、理解しておきましょう。
側から見ると、派遣と出向ってどうしても一緒に見えちゃいます。派遣や出向を利用している会社ですら、よくわからないっていうのが本音ってとこもあるぐらいです。
結論からお伝えすると、決定的な違いは主に2点だけですので、順に解説していきます。
派遣社員と出向社員では、就業期間に決定的な違いがあります。
派遣社員の場合は、1日だけの仕事や1ヶ月間のみの仕事などの短期派遣から、最長3年の長期派遣まで、期間が定められています。
一方で、出向社員はというと、特に期間の定めはありません。派遣社員のように、最長3年などといった縛りがないことが、出向社員の特徴ということですね。
一般的に、出向社員が出向先で働く期間は1年以上といわれていますが、法律で定められたものでもなく、「期間の定めはないから、とりあえず1年以上にしよう」ぐらいの感覚です。
出向社員として10年以上働いているといった方もいるぐらいで、派遣社員と比較すると、その分以下のようなリスクが発生します。
派遣社員の場合は、最長3年というルールがありますから、スキルアップのために派遣で働くことや3年後に正社員を目指したいなど、自分のライフスタイルに合わせて仕事がしやすい点が特徴ですね。
次に決定的な違いとして、労働契約の違いがあります。
派遣社員の場合は、雇用主である派遣会社と労働契約を結びますよね。出向社員の場合は、出向元と結んだ労働契約の一部もしくは全部が、出向先へ移ることになります。
もう少し具体的に説明しますね。
どうしてもこのようなケースが多くなる出向では、労働契約の中身によりますが、比較的融通が効く契約内容になっています。
契約内容に、「始業・終業時刻を業務の都合により変更する場合がある」などと記載しておけば、出向した場合でも、適応されるというわけです。
就業時間だけではなく、給料についても出向元と出向先では当然変わってきます。契約内容の一部(今回でいう給料)が出向先に移るケースもありますし、出向元でもらっていた給料のまま働くこともあるということです。
派遣社員の場合は、派遣先(就業先)と労働契約書を結ぶことはありませんよね。もしそうなると、派遣会社の存在意義すらなくなってしまうということです。
派遣として働くにも、出向として働くにも、雇用形態は違いますが、就業することに変わりありません。
世間体では一緒のような括りで見られがちではありますが、派遣と出向とでは、就業期間や労働契約などは全く異なります。
派遣会社や派遣先、出向元や出向先はもちろん、派遣社員や出向社員を含め、派遣と出向の違いについて、しっかりと理解しておきましょう!
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