最終更新日:2020/06/10
最終更新日:2020/06/10
『派遣切り』と聞いて良いイメージがある方は皆無でしょう。
それもそのはず、2008年に起こったリーマンショックの影響を派遣業界も大きく受け、『派遣切り』という言葉がメディアを通じて大流行してしまったからです。
最近では、2018年問題(2015年の改正派遣法で派遣社員の派遣期間の制限が見直され、派遣社員は個人単位で同一の組織単位で働けるのが3年までとなり、その最初の期限が2018年にあたった)で派遣切りが再び注目されることになりました。
派遣切りと聞いたことはあるものの、実際に派遣切りにあった方以外は、あまりピンとこないかもしれません。
今回は派遣切りの実態からその対策まで、わかりやすく解説します。
目次[開く]
派遣切りの意味や派遣切りの理由は、派遣社員として働くあなたに大きく影響します。
「派遣切り」とは『契約更新をしないこと』です。
派遣社員の多くは「3ヵ月ごとの契約更新」や「6ヵ月ごとの契約更新」など、契約更新型の派遣契約が主流です。
契約更新は、派遣社員と派遣先企業の双方に更新の意思確認を行い、双方が合意すれば更新されます。
つまり、派遣切りは「派遣先から契約更新を断られた」ということになります。
派遣社員のあなたが契約更新を断った場合は、「派遣切り」にはあたりません。
次に、派遣切りが行われる代表的な理由を理解しておきましょう。主な理由は2つあります。
一番わかりやすいのは『派遣先の経営状態の悪化』です。
派遣先企業には自社の正社員や契約社員、アルバイト社員などが在籍しています。経営状態が悪化しても、直接雇用の自社社員を解雇するのはなかなかできません。
そのため、最初に人件費カットの対象となってしまうのは派遣社員となるわけです。
現在の労働者派遣法では、派遣社員が同一の派遣先で働くことのできる期間は最長3年です。
もう少し細かく説明すると以下のとおりになります。
では、なぜ3年を超えて派遣先で働くことができない仕組みになっているかというと、
「派遣先企業は3年間もの長期間働いている派遣社員を、できるだけ直接雇用してあげてください」という国の思惑があるからです。
実際には、国の思惑と派遣先の実態(経営状態など)がマッチしていないため、直接雇用に進めるだけの体力が派遣先企業にないのが現状です。
派遣先は3年が経過する前に契約更新を断って、直接雇用を避けるのです。
「仮に3年という縛りがなければ、契約更新をしたいのに…」と思っている派遣先企業はあります。
上記のような理由から、派遣切りを実行しないといけない苦しい事情があるのです。
派遣切りされないことに越したことはありません。日本全国で派遣社員が活躍している中、派遣切りは全国で毎日のように発生しています。
派遣切りされた場合の対処や対策について、覚えておくとよいでしょう。
実際に派遣切りにあってしまった場合、どうすればよいのでしょうか?答えは明確です。『次の仕事を探す』しかありません。
ショックは受けますが、後ろを向いてばかりでは前に進むことができません。気持ちを整理し、割り切って、次の仕事をみつけましょう。
3年を目途に契約の更新が行われなかった場合には、派遣会社を通じて派遣先に直接雇用の打診をしてもらいましょう。
直接雇用に対して高い期待をもつことはできませんが、派遣先企業でこれからも働きたい意思があるのであれば、派遣会社に事前に相談してみてはいかがでしょうか?
直接雇用が難しい場合、「今の派遣会社に別の派遣先企業を紹介してほしいことを伝えておくこと」や「思い切って別の派遣会社に登録する」など、次の仕事が見つかりやすいように体制を整えておく必要があります。
もしくは、派遣に固執するのではなく、「雇用形態を変更する」ことです。派遣社員としての経験値は、一般企業でも高い評価を得られる可能性があるため、正社員や契約社員募集にチャレンジしてみてもいいでしょう。
派遣社員にとって、派遣切りにあわないための明確な対策はありません。派遣先の経営状態を安定化させるだけの能力があれば、派遣切りに対する心配をする必要はないかもしれませんが、現実は難しいです。
では、何もできないわけではありません。自分自身のスキルを磨き、経験を積むことで『派遣先企業にとってなくてはならない存在』になるのです。
日頃の働く姿勢や人物評価などから、派遣先から高評価を得ておくことのがポイントです。
例えば、経営状態の悪化などにより1名派遣社員を減らすこととなった場合など、その高い評価から派遣切りの対象から外れることだってあるからです。
派遣先の経営状態や採用計画などにもよりますが、『派遣先にとってなくてはならない存在』と高い評価を受けていれば、派遣先の直接雇用の可能性が高まるかもしれません。
「一人の派遣社員としての価値」ではなく、『あなた自身の価値』を高めることが大切ということです。ちなみに、派遣切りされた場合は「会社都合」での失業とみなされますので、雇用保険に加入していれば『失業保険の給付』を受けられます。
失業保険を受けられると、次の仕事をある程度落ち着いて探せます。
派遣社員の皆さんにとって、派遣切りはいつ訪れるかわかりません。もちろん、派遣切りとは縁のない方も中にはいるでしょう。
しかし、「自分には関係ないだろう」と安易に考え、派遣社員としてノホホンと働くことは危険だと認識しておく必要があります。
派遣切りの理由などを理解したうえで、仕事に対する責任やモチベーションを維持・向上させることが大切になってくるでしょう。
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