最終更新日:2020/06/10
最終更新日:2020/06/10
派遣求人の検索時に、「紹介予定派遣」という条件を見たことはありませんか?
なんとなくは知っているけれど、どんな雇用形態かを詳しくは知らない…、そんな人が多いのではないでしょうか。
「正社員になりやすい」と言われる紹介予定派遣ですが、派遣業界人いわく、実はあまりおすすめできる働き方ではないとのこと。
その理由を本記事でご説明しましょう!
えっ!紹介予定は正社員になれるチャンスがあると言われているのに、なぜおすすめじゃないの? |
今回は、紹介予定派遣の基本から、長所と短所をしっかり解説していくぞ! |
まずは、紹介予定派遣の流れを確認しましょう。
紹介予定派遣とは、一定期間は派遣社員として働き、その後に派遣先企業で直接雇用(正社員や契約社員)となって働く仕組みです。
派遣社員期間中は派遣会社が雇用主となりますので、時給で給与が支払われます(通常の派遣社員として働くときと全く同じ就業スタイル)。
派遣期間は会社によって異なりますが3か月が多く、その後は派遣社員と派遣先企業の双方の合意のもとに直接雇用に切り替わるという流れです。
へ~、3か月働いてから判断できるなんて魅力的だ思うけれどなぁ。 |
もちろんメリットもありますが、それ以上に注意しなければいけない点がたくさんあるんです! |
紹介予定派遣で働くメリットは以下のとおりです。
まずは、実際に働きながら派遣先企業を見極めることができます。試用期間は、派遣社員だけでなく派遣先企業にとっても見極めの時期です。
また、試用期間中は派遣会社が仲介に入ってくれるので、条件面などの交渉や相談にも応じてもらえます。例えば、直接雇用になった際の条件を見直したい、派遣先企業の人には聞きづらいことを相談したいなど、派遣会社の営業担当者などが間に入って調整・質問をしてくれます。
時給も、通常派遣の条件より高めに設定されているケースが多いです。
試用期間中でも派遣会社の営業担当が間に入ってくれるのは嬉しいわね! |
試用期間は派遣会社の所属なので、何かあった場合は派遣会社側が |
次に、紹介予定派遣のデメリットを見てみましょう。
あれ?デメリットが多い…それに気になる項目がたくさんある! |
紹介予定派遣といわれている求人は、実はとても少ないのです。
例えば、全国で25,000件以上の求人を扱っている某大手派遣会社で紹介予定派遣の検索をしてみると…、約2,000件程度です。
地域・職種・条件などを入れて検索をすると、ほとんど引っかかりません。どこの派遣会社も同じで、通常派遣のほうが求人数は圧倒的に多いのです。
求人数が少ない=選べる企業が少ないということ。直接雇用として働くのに、選べる企業が少ない…、シビアな環境なのです。
紹介予定派遣の求人は通常派遣の10分の1程度の求人数しかないんです。 |
派遣の求人サイトには求人先が特定できるような情報は少なく、派遣先企業名などは掲載されていません。つまり、ゆくゆくは正社員になるかもしれないのに、エントリーするまでどんな会社なのかわからないのです。
派遣求人に書かれている多少の情報はありますが、会社名がわかるのはエントリーをしたあと。試用期間はありますが、通常の就職活動と異なり、「この会社に入りたいから就職活動をする」という流れではないので、不安があるかもしれません。
紹介予定派遣といえども、必ず直接雇用になるわけではありません。
試用期間が終わるころに面接があり、それをクリアしなければ直接雇用になれません。つまり、企業側から「このスタッフは直接雇用に値しない」と面接などで判断されたら、通常の派遣と同様に契約が終了してしまいます。
面接を経て直接雇用になれる確率は6割程度と言われています。派遣社員側から断るケースもありますが、企業側から打ち切りを切り出されることも多いのです。
試用期間は、派遣社員と派遣先企業がそれぞれ判断し合う期間です。通常の派遣社員生活よりも、さらに緊張感のある日々になるでしょう。
3か月頑張っても直接雇用になれる確率は6割程度か…意外と低いわ。 |
直接雇用と聞くと「正社員」と考えるかもしれませんが、紹介予定派遣は契約社員も半数程度いるというのはご存じでしょうか?
ちなみにあるデータによると、紹介予定派遣で正社員になれたのは約25%でした。
正社員が多いんじゃないんだ! |
もちろん、契約社員も悪くはありませんが、契約先が派遣会社から派遣先企業に変わるだけで、契約が更新されなければそれまでです。
また、契約社員は正社員よりも待遇が低く、ボーナスも正社員は出て契約社員はなし、という企業もよくあります。
つまり、正社員ではなく契約社員の案件であれば、大きなメリットを感じられないのが実態です。紹介予定派遣を選ぶときは、直接雇用になったときの待遇(正社員になれるか否か)をしっかり確認しておきましょう。
実は、これは意外と多いケースなので注意が必要です。
1,600円×8時間(1日)×20日(1か月の出勤数)=256,000円
「お!これだけもらえれば十分」と感じた人もいるかもしれません。しかし、これは派遣会社に属しているときの話で、試用期間中だけの給料です。
求人票には、派遣期間中の時給が大々的に掲載されていますが、求人の詳細をみると下の方に「直雇用後は月給19~21万円、残業代別途支給、賞与年2回(2か月)」などと書かれており、実際は減給されることも少なくありません。
これは、応募者数を増やすために通常の派遣時給よりも高く設定しているからです。
減給されたら意味がない! |
派遣会社は、その派遣社員が直接雇用になれば、派遣先企業から”紹介料”をもらえます。だから、試用期間中の時給を高めに設定しても全く問題ないんです。 |
実は、有給休暇が発生するタイミングが遅くなるのも紹介予定派遣の特徴です。
試用期間中は派遣会社が、その後は派遣先企業が雇用主となるため、有給休暇が発生するのは直接雇用になってから半年後となります。
う、…これは落とし穴。知ってないとびっくりするわね! |
メリットよりもデメリットが目立つ紹介予定派遣ですが、なぜ企業はこのシステムを利用するのでしょうか?
それは、圧倒的にコストがかからないからです。
通常の求人サイトに掲載をする場合は1か月数十万円(サイトによって異なる)、転職エージェントを利用して人材を採用する場合は採用者1人につき100万円前後(年収の約30%)の手数料がかかります。
紹介予定派遣の場合は採用しなければお金がかからず、派遣期間で人物の見極めができます。また、派遣から直接雇用に切り替わるタイミングの紹介料は派遣会社との交渉で決まるため、安く人を採用できるのです。
あくまでも傾向ですが、採用活動にあまりお金をかけられない会社や転職サイトなどの掲載では人が集まらないような会社が、紹介予定派遣を利用するようです。
紹介予定派遣は会社名を全面的に出さなくて済むので、知名度がない会社でも人を集めることができます。それに、条件だけ伝えれば派遣会社が人を探してくれるので、採用活動に時間をかけずに済むのです。
紹介予定派遣で募集されている会社は、中小規模の会社が多いんです! |
以上が、紹介予定派遣はあまりおすすめできない理由です。もし、直接雇用を考えているなら正社員を目指して転職活動をするほうが、自分の希望する職に就きやすいでしょう。
紹介予定派遣は、企業側(派遣先企業・派遣会社の双方)にメリットが多い雇用スタイルなのです。
「転職活動がなかなかうまくいかないから、紹介予定派遣でチャレンジする」という人にはいいかもしれません。でも、「派遣よりも時給がいいから」という金銭的な理由だけで紹介予定派遣を選ぶのはやめましょう。
もし、どうしても紹介予定派遣を希望する場合は、大手の派遣会社を選んでください(テンプスタッフかスタッフサービスがおすすめ)。大手企業は対応がしっかりしており、選べる求人数も多いので選択肢は広がります。
また紹介予定派遣が決まって面接に進むことになった方は以下の記事も参考にしてください。
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